「長男に家を贈与したい」「介護してくれた子に多めに渡したい」
よくある親心ですが、実はこの生前贈与が、相続のときに争いの原因になることがあります。
その原因になるのが「特別受益の持ち戻し」というルールです。
しかし、贈与のときにある一文を入れておくことで、このトラブルは防ぐことができます。
それが 「持ち戻しの意思表示」です。
特別受益の持ち戻しとは?
相続では、「生前にもらった財産も、いったん相続財産に戻して計算する」というルールがあります。
例えば、、
| 1. 生前に長男に家を贈与(評価2,000万円) | |
| 2.相続時の財産が3,000万円 |
この場合、相続計算上は5,000万円あるものとして計算されます。
つまり、生前にあげたはずの財産も、相続の計算では「まだ手元にある財産」として扱われてしまうのです。
これが相続トラブルの火種になります。
■ 公正証書遺言をおすすめする理由そこで重要なのが「持戻し免除」
民法903条には、次の規定があります。
| 被相続人(財産を遺して亡くなった人)が持ち戻しをしなくてよい意思を表示したときは、持ち戻し計算をしない |
つまり、贈与するときに贈与契約書を作成して、そこに一文入れておくだけで相続時のトラブルを防ぐことができます。
契約書に入れるべき一文(文例)
贈与契約書には、次のような文言を入れておくことが重要です。
『本贈与について、民法903条に定める特別受益の持ち戻しを免除する意思を表示します。』
この一文があるかないかで、相続のときの扱いがまったく変わります。
■ なぜ口約束ではダメなのか?
「長男にはもう渡してあるから」「介護してくれたから多めにあげたいと話してある」
このような気持ちはあっても、書面に残っていなければ法律上は通りません。
その結果、
- 他の相続人から持ち戻しを主張される
- 家族関係が悪化する
- 遺産分割でもめる
というケースが実際に多くあります。
生前贈与するなら、契約書までがセットです
不動産の贈与や多額の金銭贈与をする場合、「贈与した」という事実だけでは十分とはいえません。
相続の場面では、その贈与が持ち戻しの対象として扱われ、思わぬトラブルにつながることもあります。
- 誰に・いつ・どの財産を贈与したのか
- 持ち戻しを免除する意思があったのか
まで、書面で明確にしておくことが本当の意味でのトラブル予防になります。
生前贈与をするなら、契約書まで整えておくことが大切です。
まとめ
生前贈与はご家族への配慮ですが、内容があいまいなままだと、相続の場面で誤解や不公平感を生むことがあります。
贈与契約書に「持ち戻しをしない」という意思をきちんと記しておくことで、将来の不要なもめごとを未然に防ぐことにつながります。
生前贈与をお考えの方、すでに贈与をされた方も、契約書の内容次第で相続時の扱いが変わることがあります。
気になる方はお気軽にご相談ください。
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