親から子へ不動産を引き継ぐときは、不動産の名義(所有者)を子どもの名前に変更する手続きが必要になります。
この名義変更の手続きの方法として代表的なのが、「相続登記」と「贈与登記」です。
どちらの方法を選ぶかによって、必要な手続きや税金が大きく変わるため注意が必要です。
令和8年4月現在の情報です
相続登記とは
相続登記は、親が亡くなった後、親名義の不動産を子などの相続人が受け継ぐ際に行う手続きです。
2024年4月からは義務化され、3年以内に申請しないと過料(最大10万円)の対象になることもあります。
■ 相続登記の特徴
- 親が亡くなったときに行う手続き
- 遺産分割協議により、誰が不動産を受け継ぐか決める
- 相続開始後に相続人全員の関与が必要 (※遺言書がないとき)
- 基礎控除 3,000万円+(法定相続人の数×600万円)があるため、多くのケースで相続税は課税されない
遺言書がある場合の相続手続き
● 適切な遺言書があれば、遺言書で不動産を相続した相続人が単独で相続登記できる(他の相続人の協力は不要)
● 自筆証書遺言は書き方を誤っていると無効になる場合がある
● 公証人が関与して作る公正証書遺言がおすすめ
■ 相続登記の必要書類
1、亡くなられた方(不動産の登記上の所有者)の必要書類(各1通)
- 出生から死亡までの連続した戸籍謄本等一式
- 住民票除票または戸籍の附票
- 相続不動産の固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書(登記申請する年度のもの)
- 相続不動産の権利証書 (なくても大丈夫です)
2、相続人全員の必要書類(各1通)
- 戸籍抄本または戸籍謄本
- 住民票または戸籍の附票(本籍地の記載あり・マイナンバー記載なし)
- 印鑑証明書(遺産分割協議をする場合)
■ 相続登記の費用
| ① 登録免許税 | |
| 固定資産評価額×0.4% | |
| ② 戸籍や証明書の発行費用など | |
| 数千円~1万円ほど | |
| ③ 司法書士に依頼する場合、司法書士への報酬 | |
| 8万~15万円程度 (手続きの内容・依頼する範囲によって異なる) |
| 相続登記の費用=① + ② + ③ |
贈与登記とは
贈与登記は、親が生きている間に、親名義の不動産を子に無償で譲る際に行う続きです。
「生前に子に家を譲っておきたい」「相続争いを避けたい」という場合によく使われます。
■ 贈与登記の特徴
- 生前に親と贈与を受ける子で手続きする
- 認知症等で判断能力が低下して贈与について正常な判断ができない場合は手続きできない
- 贈与税がかかる(年間110万円を超える分に課税)※但し、特例あり
- 書面による贈与契約(贈与契約書)が必要
■ 贈与登記の必要書類
1、贈与者の必要書類(各1通)
- 不動産の権利証書または登記識別情報通知書
- 印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
- 実印
- 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
- 登記上の住所や氏名が印鑑証明書と違う場合は、つながりを証明できる住民票、戸籍の附票や戸籍謄本など
2、受贈者の必要書類(各1通)
- 住民票
- 認印
■ 贈与登記の費用
| ① 登録免許税 | |
| 固定資産評価額×2.0% | |
| ② 贈与税(課税される場合) | |
| 税率は10%~55%と高額になる可能性もある | |
| ③ 司法書士に依頼する場合、司法書士への報酬 | |
| 7万円程度 (手続きの内容・依頼する範囲によって異なる) |
| 贈与登記の費用=① + ② + ③ |
違いを比較
主な違いは次のとおりです。
| 相続登記 | 贈与登記 |
| タイミング | |
| 死亡後 | 生前 |
| 所有権取得の取得原因 | |
| 相続 | 贈与(契約) |
| 登録免許税 | |
| 評価額×0.4% | 評価額×2.0% |
| 相続税・贈与税 | |
|
相続税(基礎控除あり) |
贈与税(110万円超で課税)※特例あり |
| 不動産取得税 | |
| なし | かかる(軽減制度あり) |
| 必要書類 | |
| 戸籍、遺産分割協議書など | 贈与契約書など |
| メリット | |
| 税負担が軽い | 生前に確実に譲渡できる |
| デメリット | |
| 相続開始後に相続人全員で話し合いが必要 | 税負担が相続より高い |
【具体例:評価額1,000万円の自宅を子ども1人に名義変更する場合】
| 登録免許税の違い | |
| 生前贈与 | 遺産相続 |
|
20万円 (1,000万円×2%) |
4万円 (1,000万円×0.4%) |
どちらを選ぶべき?選び方のポイント
生前贈与することで相続財産を減らすことができ、相続税の節税につながる場合があります。
ただし、生前贈与には贈与税のほか、登録免許税や不動産取得税などの負担が生じるため、必ずしも贈与の方が有利とは限りません。
一方、相続で取得する場合は、小規模宅地等の特例など相続税を大きく軽減できる制度が使えることもあります。
また、生前贈与では相続時精算課税制度などの制度が利用できる場合もあります。
生前贈与と相続のどちらが得かは、
財産の内容や評価額、家族関係、利用できる税制によって大きく変わります。
そのため、制度や税金の仕組みを確認したうえで、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。
専門家に相談しながら検討することをおすすめします。
相続登記で不動産を渡す方がいいケース
すべての所有財産(不動産や預貯金など)が、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の範囲内に収まる場合は、
相続税がかからない可能性があります。
特に、生前に不動産を譲る特別な理由がない場合は、
生前贈与ではなく相続で名義変更する方が手続き費用も比較的安く済むことが多いといえます。
贈与登記で不動産を渡す方がいいケース
● 子供や配偶者など将来の相続人が不仲で揉める可能性がある場合
相続人同士の関係が良くなく、遺産分割の協議が難航する可能性がある場合
● 認知症などによる判断能力の低下が見込まれる場合
将来、判断能力が低下している状態で土地を売却する必要が発生しても、売却が困難になる可能性があるためです。
● 生前のうちに、不動産を自分の希望する人に確実に引き継いでもらいたい場合
例えば、同居している子どもや特定の相続人に不動産を確実に引き継いでもらいたい場合です。
● 将来的に土地の評価額が上がると見込まれる場合
土地の資産価値が将来上昇し、評価額の上昇が見込まれる場合は、生前贈与によって節税につながる可能性があります。
これは、贈与税は贈与時、相続税は死亡時の評価額を基準に課税されるためです。
まとめ
不動産を生前贈与すると相続財産が減るため、相続税の節税につながる場合があります。
ただし、贈与税のほか登録免許税や不動産取得税がかかるため、必ずしも有利とは限りません。
また、相続では小規模宅地等の特例、生前贈与では相続時精算課税制度など、利用できる制度もあります。
このように、生前贈与と相続のどちらが得かはケースバイケースです。
財産の状況や家族関係に応じて、適した方法を検討することが大切です。
不動産の名義変更や相続対策でお悩みの方は、専門家に相談しながら検討することをおすすめします。
茨木市で司法書士の無料相談をお探しの方は、司法書士高見事務所まで、お気軽にご相談ください。
