相続が発生すると、やるべき手続きが次々と押し寄せてきます。その中で「遺産分割協議書って、いつ作ればいいの?」と疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、遺産分割協議書に法律上の期限はありません。
しかし、「いつでもいい」とのんびり構えていると、思わぬ不利益を招くことがあります。
今回は、司法書士の立場から、遺産分割協議書の作成時期と注意点についてわかりやすく解説します。
遺産分割協議書とは?
遺産分割協議書とは、相続人全員で「誰が、何を、どのくらい相続するか」を話し合い(遺産分割協議)、その内容をまとめた書面です。
この書面は、
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など、相続手続きのほぼすべての場面で必要となります。相続人が複数いる場合には、ほとんどのケースで作成が必要になると考えてください。
作成時期に法律上の期限はないが‥
前述のとおり、遺産分割協議書の作成自体に法定期限はありません。
しかし、関連する手続きにはそれぞれ期限が定められているため、注意が必要です。
■ 相続放棄3ヶ月以内
相続放棄は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てなければなりません。
この期限を過ぎると、原則としてプラスの財産もマイナスの財産(借金など)もすべて相続することになります。
被相続人に多額の負債があるケースでは、まず相続放棄の検討を優先し、その後に遺産分割協議書の作成に進むのが適切な順序です。
■ 相続税の申告・納付は10ヶ月以内
相続税が発生する場合、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告・納付が必要です。
遺産分割が完了していないと、税務上の特例(配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例等)が原則として適用できません。
相続税の申告期限を見据えて、遺産分割協議書をできれば6~7ヶ月以内には完成させることをおすすめします。
■ 相続登記は3年以内(義務化)
2024年4月から、不動産の相続登記が義務化されました。
相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。
遺産分割協議書は相続登記の添付書類として必要ですので、この期限も意識しておきましょう。
遺産分割協議書を作成する際の注意点
次のようなことに注意する必要があります。
1. 相続人の全員の参加が必須
遺産分割協議は、相続人全員で行わなければなりません。一人でも欠けていると、その協議は無効となります。
まずは戸籍謄本を取り寄せて相続人を確定する作業から始めましょう。
疎遠な親族や、知らなかった相続人が存在するケースもあります。
2. 相続人の全員の実印と印鑑証明書が必要
遺産分割協議書には、相続人全員が実印で捺印し、印鑑証明書を添付することが一般的です。
遠方の相続人がいる場合は、郵送でやり取りする時間も考慮に入れておく必要があります。
3. 財産の漏れに注意する
遺産分割協議書を作成した後に、それまで把握していなかった財産(預貯金口座や不動産など)が見つかることがあります。
その場合、後から見つかった財産について改めて遺産分割協議を行う必要があります。
そのため、事前に財産調査を丁寧に行い、財産の全体像を把握しておくことが大切です。
また、預貯金・不動産・有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産についても調査が必要です。
財産の全体像を把握したうえで遺産分割協議を行うことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
4. 内容は具体的に記載する
「財産を均等に分ける」といった曖昧な表現は避け、不動産は地番・家屋番号まで、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで明記することが大切です。
後々の手続きでトラブルが生じないよう、具体的かつ明確に記載しましょう。
まとめ
遺産分割協議書は、相続人と相続財産が確定し、相続人全員が遺産の分け方に合意した段階で作成します。
法律上の作成期限はありませんが、相続登記や相続税申告などの手続きを考えると、できるだけ早めに準備を進めることが大切です。
- 相続人調査や財産調査
- 遺産分割協議書の作成
に不安がある場合は、司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。
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