相続手続きを進める中で、遺産分割協議書への署名・捺印は理解できても、なぜ印鑑証明書まで必要なのか?
こんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、印鑑証明書が求められる理由と実務上の注意点を司法書士がわかりやすく解説します。
遺産分割協議書とは
相続人全員が相続財産の分け方について合意した内容を文書化したものが「遺産分割協議書」です。
不動産の名義変更(相続登記)や預金の払い戻しなど、ほぼすべての相続手続きに必要となります。
POINT !
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遺産分割協議書は相続人全員の合意がなければ成立しません。 一人でも反対すると手続きが進まなくなるため、早めに全員で協議を進めることが重要です。 |
なぜ印鑑証明書が必要なのか
1.実印であること証明するため
遺産分割協議書には、相続人全員が「実印」で捺印することが求められます。
しかし、見た目だけでは「この印鑑が本当に実印かどうか」を判断することはできません。そこで、市区町村が発行する「印鑑証明書」を添付することで、「この印鑑は○○市に登録されている本人の実印です」と公的に証明するわけです。
2.本人が内容を理解し、自らの意思で合意したことを証明するため
実印と印鑑証明書は本人が管理しているものであり、通常は他人が使用することはありません。そのため、書類に実印が押され、あわせて印鑑証明書が提出されていれば、本人が内容を確認したうえで自らの意思で捺印したものと考えられます。
| 相続手続きでは、遺産分割協議書に相続人本人が実印で捺印し、印鑑証明書を添付することで、相続人全員が遺産の分け方に同意していることを証明します。そのため、実印と印鑑証明書は相続手続きにおいて重要な役割を果たしています。 |
3.法務局・金融機関が要求する書類だから
不動産の相続登記(法務局への申請)や、銀行・証券会社での相続手続きでは、遺産分割協議書に加えて相続人全員の印鑑証明書の提出が必須とされています。
必要な印鑑証明書の有効期限と通数
提出先によって有効期限のルールが異なります。事前に確認しておきましょう。
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〈不動産登記(法務局)〉 |
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有効期限の定めなし
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| 〈金融機関(銀行等)〉 | |
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多くが6ヶ月以内 3ヶ月以内の場合もあり (機関ごとに確認が必要) |
| 〈通数の目安〉 | |
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相続人1人のつき2~3通 (提出先が複数ある場合)
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■ 印鑑証明書は原本還付してもらえる
印鑑証明書は、多くの手続きで「原本還付」を利用できます。
一度は原本を提出する必要がありますが、手続き後に原本が返却されるため、同じ印鑑証明書をほかの相続手続きでも使用できます。
そのため、代表して手続きを進める相続人は、各相続人から印鑑証明書を1通ずつ預かっておけば、複数の相続手続きを進めることが可能です。
■ 印鑑証明書はなぜ余分に用意しておくべき?
印鑑証明書は最低1通でも足りますが、2~3通取得しておくのが理想です。
2~3枚あれば複数の相続手続きを同時に進められますし、原本還付できない申請先があっても慌てずに対応できます。他の相続人に再取得を頼みにくい関係であれば、最初にまとめて取得してもらう方が後々スムーズです。
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印鑑証明書が1通しかない場合、郵送で相続手続きを進めると、原本が返却されるまで手元になくなります。
そのため、銀行や証券会社など複数の申請先で手続きが必要な場合でも、印鑑証明書が返ってくるまで次の手続きを進められません。 |
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一方、印鑑証明書をあらかじめ複数枚取得しておけば、法定相続情報一覧図を活用することで、複数の申請先へ同時に手続きを進めることができます。 |
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手続きを並行して進められるため、相続手続き全体の時間を短縮できます。 また、印鑑証明書は提出先によって「発行から3ヶ月以内」などの期限が求められることもあるため、早く手続きを終えられるメリットは大きいでしょう。 |
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ほとんどの申請先では、予め印鑑証明書の原本還付をお願いすれば、印鑑証明書の返還を受けることができますが、稀に印鑑証明書の原本還付を受け付けてもらえないことがあります。 |
実印を登録していない相続人はどうすればいい?
実印を登録していない場合は、まずお住まいの市区町村の役所窓口で印鑑登録を行いましょう。
印鑑登録が完了すると、実印として登録した印鑑を使用できるようになり、印鑑証明書も取得できます。
遺産分割協議書を作成する相続では、通常、実印での捺印と印鑑証明書の提出が必要です。
そのため、実印を登録していない場合は、相続手続きを始める前に印鑑登録を済ませておくと、その後の手続きをスムーズに進められます。
海外在住の相続人がいる場合はどうする?
日本の印鑑証明書は、日本の市区町村に印鑑登録をしている方にしか発行されません。
印鑑登録は住民票のある自治体でしか行えないため、海外に転出届を提出して住民票を抜いた方や、もともと日本に住民登録のない方は取得することができません。
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そのような場合に利用できるのが、『在外公館(大使館・領事館)が発行するサイン証明(署名証明)』です。 これは印鑑証明書の代わりとして、遺産分割協議書への署名が本人のものであることを在外公館が公的に証明する書類で、法務局や金融機関にも広く認められています。 |
取得の際は、管轄の在外公館に早めに連絡し、必要書類や予約方法を確認しましょう。
発行までの日数や手数料は国によって異なり、相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)がある場合は特にスケジュールに余裕を持って動くことが重要です。
相続手続きでお困りの方へ
相続手続きは、書類収集から法務局への申請まで、慣れない方にとっては非常に煩雑です。
「何から手をつければよいかわからない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
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